「時間のムダだった!」
こういわれることほどコーチングやコンサルタントを仕事としている人にとって辛いことはありません。
『時間=価値』
これがコーチやコンサルタントを生業としている人の大事な価値基準です。
なので、クライアントが費やした時間、投資してもらった時間に対して、相手が想定している以上の価値を提供せねば冒頭のフィードバックが返ってくることになりかねません。
『価値』とはなにか?
今、大阪なおみ選手がニュースをにぎわせていますね。
フィジカルに恵まれた日本国籍を持った選手がテニス界最高峰のグランドスラムで優勝してしまった!
しかも相手は超ベテランのセリーナ。
審判や思い通りにならない試合運びにいら立ちを隠せず激高している様子にひるむことなく20歳の若き選手は勝利しました。
20歳の時、自分はどうだっただろうか……
目の前でアラフォーのベテランが怒鳴り散らしていたらビビってしまって縮こまってしまっていたんでなかろうか。
20歳だった時の事を考えると大阪選手の胆力・度胸・根性は目を見張るものがあります。
これだけでも驚くべき姿勢ですが、勝利が決まったあとのブーイングにも大人の対応をしてみせました。
あっという間に周りを味方に引き入れ、応援される立場に切り替えてしまったんです。
これが世界で超一流を争う選手の行動だと学ばせてもらいました。
しかし、実は大阪選手は実はとても繊細な心の持ち主だとか!
それが一体どうやって土壇場であんなにも強くいられたのか???
彼女をコーチングしたのはドイツ人のサーシャバイン(Serchsa Bajin)コーチ
彼のコーチングの特徴は「友達のように接する」こと
先生のように上からの圧力をかけて鼓舞するタイプではないのですね。
あくまで選手と横並びのような関係を保ちつつ
弱ってネガティブになったときにはポジティブに切り抜けられるよう励まします。
コーチとクライアントの関係で「なんでも話せる友達のように」接しつつ
成果も出させることは、実は難易度の高いコーチング技術が要求されます。
多くのコーチやコンサルティングの場合、気軽に話せる関係に落ち着いてしまうと
クライアントになめられたり、甘えられたり、依存される関係になり
ビジネスパートナー以上の関係性を要求されることでしょう。
そこで論理や数字、お金と時間と対比させながら
コーチングやコンサルタントを行うことでこの問題に対応していきます。
人に興味・関心が強い人が論理や数字で動くようになっていくと
ストレスがとても溜まってしまいます。
この気持ちに蓋をするように仕事を推し進めていくと
余計に人を見なくなっていきます。
起業家として優れているのは間違いなく、数字、つまり動かすお金の量です。
少ない時間で大きなお金を回す人ほど実業家として優れています。
しかし、数字ばかりにこだわってしまうと
人間の心模様が邪魔になってきます。
ネガティブな人、凝り固まっている人、甘えて依存してくるようにコーチ自身が感じてしまうと、自分が行動指針としている「数字へのこだわり」が崩れていきます。
こだわりはその人の中のシステムを調和させていくものです。
この調和を崩されると困るので、冷たい指示的な物言い、威圧的な言葉、極めつけは暴力といった形で表現されます。
テニスは勝ち負けの世界。
みんなそろってゴールに着くような世界ではありません。
容赦のない数字の世界です。
数字と心の扱いを両立させながら
友達のように接して共感し、扱いづらい感情を上手にエネルギーに変えていきながら
最後は必ずポジティブに切り替えることができる
このコーチングテクニックは本当に素晴らしいものです。
まずは相手に寄り添い
相手の心の変化や、表に出てくる行動パターン
思考回路の構造のクセを理解して
自分の得意技だけではなく
相手に合わせたテクニックのバリエーションを
展開することでクライアントのポテンシャルを最大に引き出し
成果につなげることができる。
これがコーチコンサルタントに求められている『価値』でしょう。
クライアント自身もよく理解していない無意識や潜在的な本能の特性を
いち早くキャッチして、素晴らしいエネルギーに転換させることができれば
「あなたに会えて良かった!人生が変わった!!」
そういわれるセッションができることでしょう。